研究概要 |
平成12年度に行った研究は,次の二つに大きく分けることが出来る: (1)角度変数と一次変換の幾何の関係を調べる. (2)タイヒミュラーモジュラー群(写像類群)を角度変数で表現する. タイヒミュラー空間を大域実解析的に簡明に表現するために,奥村は角度変数を新たに導入した.そして,角度変数のみによるタイヒミュラー空間の変数空間は解析しやすい集合であることを,代表的なタイヒミュラー空間の場合に示していた. 穴あきトーラスを表現するフックス群等の生成元やこれらの積にたいし,軸の配置は非常に高い「対象性」を持つことが分かった.このような一次変換の幾何とトレースや角度変数の関係について,双曲幾何を用いて調べた.この考察から,角度変数の関係式や情報が多く得られた. このような情報から,タイヒミュラーモジュラー群を角度変数のみで表示することを目指し,次の考察を行った: ・タイヒミュラーモジュラー群を表示する角度変数と長さ変数の関係を調べる. ・タイヒミュラーモジュラー群を,具体的に計算が容易な場合に角度変数で表示する. ・一般のタイヒミュラーモジュラー群の表示を容易にする角度変数をどのように(帰納的に)とれば良いかを調べる. 特に,穴あきトーラスと種数2の閉曲面に関するタイヒミュラーモジュラー群の場合に,角度変数での表示を考察した. 平成12年度には,射影構造に関する研究集会や数論的クライン群と低次元トポロジーに関する研究集会を静岡大学で開催し,結び目等の低次元トポロジーへの関連についての研究連絡を行った.
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