研究概要 |
1.関数と関数を各点ごとに掛け算する各点的マルチプライヤー(pointwise multiplier)の理論については、p乗可積分な函数の全体L^p上の場合が良く知られている。近年は、有界平均振動関数の空間BMOやこれと密接な関係にあるCampanato空間,Morrey空間,Holder空間など,種々の函数空間上での場合を調べてきた。今年度の研究では、Campanato空間やMorrey空間上の各点的マルチプライヤーについて、今まで決定できなかった部分についての調査をほぼ終えた。得られた結果は順次公表する予定である。 2.種々の函数空間上での特異積分作用素やRieszポテンシャルの有界性については、偏微分方程式の研究上でも大切であり、良く調べられている。特に,Rieszポテンシャル(分数べき積分)のL^pからL^qへの有界性はHardy-Littlewood-Sobolevの定理として良く知られている。今年度の研究では,分数べき積分を一般化してOrlicz空間上や重み付きBMO上での有界性を得た。Orlicz空間はL^pを特別な場合として含むものであり,この結果はHardy-Littlewood-Sobolevの定理の拡張になる。引き続き内容を深め,一般化された分数べき積分の理論としてまとめる予定である。結果の一部はすでに国内の研究集会や、2つの国際会議などで発表した。 3.今後は,得られた結果や理論の偏微分方程式やその他の分野に対する応用,一般化された分数べき積分とpointwise multipliersとの関係,作用素の一般化された分数べき等について調査をする予定である。
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