研究概要 |
1.C^2におけるabsolute normと[0,1]上の凸関数との1対1対応関係をC^n上に拡張し,狭義凸なabsolute normを特徴づけた。また,C^n上のabsolute normを用いてバナッハ空間の直和にノルムを入れl_p直和の概念を拡張した。このような直和に対して狭義凸性,一様凸性を特徴づけ,l_p直和に関する著名な結果を拡張した。 2.1【less than or equal】r【less than or equal】p【less than or equal】のとき,L_p空間はL_r空間,とくにL_1空間の部分空間と等距離同型になることは良く知られている。H.P.Rosenthal(Ann.of Math.,1973)はL_1の部分空間がいつL_pの部分空間になるかを考察したが,本研究ではL_1の部分空間がL_pの部分空間となるようなpの上限をJordan-von Neumann定数を用いて決定した。 3.q-uniformly convex及びp-uniformly smoothなバナッハ空間を特徴づけるq-uniform convexity不等式,p-uniform smoothness不等式(2元の不等式)を一般化・拡張し,これらの特徴づけを保つ一連のノルム不等式を与えた。とくに,Clarkson不等式とtype-cotype不等式の中間に位置するn元の不等式を与えた。また,これらの不等式のLebesgue-Bochner空間L_r(X)への遺伝性を示し従来の結果を一般化した。 4.以上の他,Rademacher type-cotypeの概念の拡張などについて知見を得た。これらの成果を日本数学会秋季総合分科会・年会,数理解析研究所研究集会等で,またConference on Function Spaces,Interpolation Theory and Related Topics(Sweden)及びLulea University of Technology(Sweden)で発表した。
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