研究概要 |
本研究は,非線形移流拡散方程式系に対する解の有限時間での爆発の可能性および爆発点での解の特異性について考察し,爆発点での解の特異性を詳細に解析することで爆発解および爆発点の構造を明らかにすることを目的としてきた。平成11年度において,滑らかな境界を持つ2次元有界領域において質量保存則を満たす2つのタイプの非線形移流拡散方程式系(放物-楕円型方程式系,放物型方程式系)に対し斉次ノイマン境界条件の下で初期境界値問題について研究を行ない,以下の結果を得た. 1.放物型方程式と楕円型方程式からなる2連立系で記述される非線形移流拡散方程式系に対する初期境界値問題の解の有限時間爆発の可能性は,これまで球対称解の場合にのみ結果が得られていた。本研究で,2次元有界領域において必ずしも球対称でない場合について考察し,初期関数の積分量がある値より大きいとき解の有限時間爆発が起こりえることをモーメント法を用いて示した。 2.放物型方程式系で記述される非線形移流拡散方程式系に対して、有限時間爆発解の爆発点での特異性について解析を行った。エネルギーを爆発点で局在化し、Trudinger-Moserの不等式を用いることにより、孤立爆発点で解はデルタ関数的な特異性を持つ事を示した。 非線形移流拡散方程式系の解の有限時間での爆発の可能性、また爆発点は孤立しているのかどうかについてはこれからの研究課題である。
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