研究概要 |
当該申請書には、1Keller-Segel系ならびに単純化されたKeller-Segel系の球対称な爆発解の研究、2Keller-Segel系の定常解に関する研究、3爆発点の位置についての研究、の3つの研究を目的として記載した。 1 については、単純化されたKeller-Segel系の解が有限時刻で爆発するなら爆発時刻において解は爆発点にサポートを持つδ関数の和とL^1関数の和として表され、当該のL^1関数は爆発点以外では連続となる事が対称性の仮定なしに明らかになった。またKeller-Segelの解について、爆発点が全て孤立点であるという仮定のもとで、同様の結果を得た。さらに、δ関数の重みやその動きについても考察を行った。これらの研究の方向を決める段階で、辻川の行った数値解析の結果が重要な情報となった。以上の結果はHiroshima Math.J.,Adv.Differential Equationsに掲載されており、J.Math.Biol.、Adv.Differential Equations,J.Func.Anal.に掲載予定である。 2 についてはKeller-Segel系の解のL^1量をパラメーターとして、非定数定常解が存在するパラメーター領域と存在しない領域について結果を得た。また、壁屋はKeller-Segel系の定常解の満たす方程式と関連する楕円型方程式の球対称解の一意性を明らかにした。この結果はKeller-Segel系の定常解の構造を予想するための重要な資料となった。これらの結果はAdv.Math.Sci.Appl.とComm.Partial.Differential Equationsにそれぞれ掲載、掲載予定である。 3 についてはKeller-Segel系の球対称解が有限時刻で爆発するとき爆発点が領域の中心のみに現れる事を明らかにした。また、定常解の列が爆発するとき爆発点の位置と数が解のL^1量と領域の形状に依存する事を明らかにした。しかし単純化されKeller-Segel系については、爆発点の位置が領域の形状に影響されることなく定まるような爆発解の存在を示した。このことより、Keller-Segel系の解の爆発点についても領域の形状と解のL^1量以外にその位置を決定する要因がある事が明らかになった。これらの結果は、Adv.in Differential Equationsに掲載され,Adv.Math.Sci.Appl.とProceedings of the IMS Workshop on R.D.S.に掲載予定である。
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