研究分担者 |
篠原 昌彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (70086346)
小林 一章 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50031323)
宮地 晶彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (60107696)
永山 操 東京女子大学, 文理学部, 講師 (30237557)
山島 成穂 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (80086347)
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研究概要 |
D加群とは微分作用素環上の加群の総称であり,具体的には線型偏微分方程式系に対応する.D加群については1970年代からの佐藤・柏原・河合らの研究によって高度な理論体系が構築されていたが,具体的な計算方法についてのまとまった研究は最近までなされていなかった。このような状況の下で高山信毅氏と本研究代表者は,多項式環についてはその有用性が既に広く認知されているGrobner基底の方法を微分作用素環に適用することによって,D加群に対する種々の演算(関手)のアルゴリズムが得られることを見出した。本研究課題の今年度の研究においては,この方向の研究をさらに推し進め,次の2つの研究成果を得た。 1.D加群のアルゴリズムにおいて中心的な役割を果たすのは,与えられた重みベクトル(の定めるフィルター)に適合した自由分解の計算であるが,実例の計算における自由分解は一般に非常に大きく,しばしばメモリ不足で計算不能に陥る。そこで多項式環における極小自由分解の概念をこの場合に拡張して定義し,その計算アルゴリズムを得た.これにより実際の自由分解の計算が著しく効率化されることが期待される。実際の計算実験は数式処理システムKanをネットワークで結合した複数のノートパソコン(OSとしてはLinuxを使用)上で稼働させて来年度に実施する予定である。 2.ホロノミック系の非特異超曲面に沿っての決定多項式の計算アルゴリズムの応用として,ホロノミック系の有理関数解を求めるアルゴリズムを得た.常微分方程式の場合には効率的な方法が知られていて,例えば数式処理システムMapleで実現されているが,偏微分方程式の場合に有効な方法はほとんど知られていなかった。
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