研究概要 |
解析関数空間とその上の作用素の研究を目的として、本年度の実施計画に基づいて研究を行ったところ、「合成作用素」について多大なる新しい結果、知見を得た。[1]単位円板上の有界解析関数の空間H^∞上の合成作用素のcomponent について「2つの合成作用素の差がいつcompactになるか」といった問題をはじめとした一連の位相構造の完全なる解答を得、Hilbert-Hardy空間ときSundberg-Shapiroによって提出されている予想へのH^∞における否定的な例を与えた。これらはB-Mac Cluer(米・Virginia大),R.Zhao(米・Montana大)との共同研究であり、現在論文投稿中である。[2]荷重合成作用素の有界性,compact性について以下の関数空間で考えた.(1)Bloch,little Bloch空間の場合は、R.Zhaoとの共同研究により、それらの成り立つ必要十分条件を得、平成11年5月米「南東解析研究集会」において口頭発表を行い、現在論文投稿中である。(2)Lipschitz空間について既に結果を得ていたが、これにK.Stroethoff(米Montana大)が注目し一般の場合への拡張を現在行っている。(3)disk環,H^∞の場合、高木啓行(信州大・理)と共同研究し、Fredholm,閉値域の完全な解答を与えた。(4)BlochとHardy空間間において特徴づけたが、これがSundberg-Shapiroの予想に関係するという意外な知見を得た。
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