研究概要 |
単位円板U={z:|z|<1}内で定義された解析関数f(z)=z+a_2z^2+a_3z^3+...の単葉性質、星型性質、凸型性質などを中心に、解析関数の様々な性質を微分作用素、積分作用素、合成積、サブオーディネーションなどを通して研究した。 論文『Coefficient inequalities for certain univalent functions,Math.Inequ.Appl.2(1999),535-544』では、負係数を持つ単葉関数族について、H.Silverman(1975年)導いた関数の係数不等式に注目して、これらを一般化した解析関数族T^*_α(n,θ)、C_α(n,θ)を導入し、これらの関数族に含まれる関数の性質について吟味した。論文『Properties of certain integral operators,Southeast Asian Bull.Math.24(2000),in press』では、単位円板内で定義された解析関数f(z)=z^p+a_<p+1>z^<p+1>+a_<p+2>z^<p+2>+...の積分作用素の性質をサブオーディネーションの性質やガウスの超幾何関数を用いて考察し、積分作用素についての非常に興味深い性質が得られた。また、論文『Some sufficient conditions for strongly starlikeness,Internat.J.Math.Sci.,in press』では、単位円板内で定義された解析関数f(z)にサブオーディネーションの性質を用いて、関数f(z)が強星型性質を満たすための様々な条件を与えて、M.Obradovicが1998年に与えた定理を一般化した。さらに論文『Sufficient conditions for univalence of certain integral operators,Indian J.Math.,to appear』では、解析関数f(z)の積分作用素F_α(z)およびG_α(z)が単葉性質を保持するための条件を考察して、1985年にN.N.Pascuが与えた積分作用素の単葉性に対する定理の一般化を行った。 この研究課題によって得られた結果は、日本数学会、京都大学数理解析研究所などにおける研究集会で、発表された。 最近、単位円板内で定義された解析関数f(z)に対して、f(z)=z+a_2z^2+a_3z^3+...の部分和f_n(z)=z+a_2z^2+・・・+a_nz^nに対する星型関数族、凸型関数族についての研究をすすめており、解析関数の合成積の性質を用いることによって、この種の研究が新しい方向へと展開しうる可能性が出てきている。
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