数年来巾零リー群G=expgの単項表現τ=ind^G_Hχに付随する不変微分作用素環D_τ(G/H)の構造に興味をもち、τが有限重複度をもつ事と D_τ(G/H)が可換である事は同値であろうというDuflo-Corwin-Greenleaf予想の周辺を研究してきた。τが有限重複度ならD_τ(G/H)が可換となる事はCorwin-Greenleafにより92年に示されており、問題はこの逆を示す事であうた。問題自体は代数的なものであるが、τに対するプランシュレル公式を利用する解析的手法を用いて、パリ大学のMagneron、Lion、Mehdiの3氏と共同研究を行い予想の証明を得た。この結果報告はC.R.Acad.Parisに受理されており、近日中に公表される予定である。また本論文についてはParis 13大学のMagneron氏を招待するなどして現在準備中である。副産物としてτに対するある種の相互律、およびτに付随したG-不変多項式環の構造決定に関する結果も得られ、これらについてもその内容を点検中であり、夏までには本論文を準備する予定である。 他方、表現の誘導と制限の間には強い双対性・類似性があることがよく知られており、Gの規約ユニタリ表現πの解析部分群Kへの制限π|Kの既約分解が有限重複度をもつための条件も、上記誘導表現の場合と同様にある種の不変微分作用素環の可換性により記述できるであろうという予想の下、チュニジア・スファックス大学のBaklouti氏と共同研究を始め、昨年7月の私のスファックス大学訪問などを通して研究を進めた。その結果上記誘導表現に対する結果を、表現の制限に対して翻訳することに成功したと思われ、これらも現在点検中である。 τが有限重複度をもつときD_τ(G/H)はあるH-不変多項式環と同型であろうという、いわゆる多項式予想については、ドイツDAADの招待により昨年末からのビールフェルト大学を訪問、Poguntke教授と討論を行った。
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