研究概要 |
単位円盤Δ={z:|z|<1}上の単葉正則関数で、f(0)=0,f'(0)=1を満たすものに対しては、増大度定理|z|/(1+|z|)^2【less than or equal】|f(z)|【less than or equal】|z|/(1-|z|)^2が成り立つことが知られている。H.Cartanは、この結果は多変数の単葉正則写像については成り立たないことを指摘し、星形写像,凸写像について研究するよう勧めている。Barnard-FitzGerald-Gong(1991),Chuauqi(1995)は上記の増大度定理をC^n内のユークリッド単位球上の星形写像に拡張した。濱田は、上記の増大度定理をC^n内の有界円形擬凸領域D上の正規化されたα型の螺旋型正則写像に拡張した。 本研究では、ユークリッド単位球上のもっと一般的な正規化された螺旋型正則写像の増大度について調べた。また、無限次元Banach空間の単位球上の位数αの正規化された星形写像に対するより精密な増大度定理を示した。 次に、C^n内の任意のノルムによる単位球B上の局所微分同相写像が単葉であるための解析的十分条件を与え、無限次元バナッハ空間の単位球上の局所両正則写像が両正則写像であるための解析的な必要十分条件を与えた。また、無限次元ヒルベルト空間の単位球上の局所両正則写像が凸写像であるための解析的な必要十分条件を与えた。 また、Pommerenke(1964)によった始められ、Barnard-FitzGerald-Gong(1994),Pfaltzgraff(1997),Pfaltzgraff-Suffridge(1999)によってユークリッド単位球上に高次元化された線形不変族の理論を多重円盤上に拡張した。
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