研究概要 |
1. ネットワーク上で Hardyの不等式を研究する際に,倉持関数の性質を応用できることを示した。すなわち,離散ラブラシアンの重み付き固有値問題を研究する際に,最小固有値に関する情報が重要である。ネットワークの節点数が大きくなると,計算機で最小固有値を直接に計算する方法には限界がある。直接計算ではなく,重みによる倉持ポテンシャルの大きさを用いて,最小固有値を評価する方法を提案した。抵抗を変化させることにより,この評価方法の有効性についての数値実験例も与えた。 2. 無限ネットワークの離散倉持関数の性質をその有限部分ネットワークの離散倉持関数で近似することにより明らかにした。この結果は,離散倉持関数に関する数値実験等を行う際に有効である。 3.種々の極値問題を調べる際に,その双対問題を利用することの有効性はよく知られている。このことを無限ネットワーク上の一般化された容量に関する研究に応用した。すなわち,これらの問題を無限計画問題として定式化して,双対定理が成立するための十分条件を吟味し,新たな知見を得た。ドイツ国マンハイム大学Oettli教授との共同研究である。 4.Wirtingerの不等式,Hardyの不等式,ソボレフ・ポアンカレの不等式,強等周不等式等の有名な不等式は変分法の研究において重要であることが知られている。本研究では,無限ネットワーク上でこれらの不等式の相互関係を考察し,これらの不等式から得られる離散ポテンシャル論的な興味深い結果を与えた。広島工業大学村上教授との共同研究である。 島根大学総合理工学部陳助教授との共同研究で、線形補償問題を微分不可能な方程式に書き直し、それを用いて与えられた問題が解をもつか否かを検証する方法を提案した。
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