研究分担者 |
柴田 徹太郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90216010)
倉田 和浩 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10186489)
大谷 光春 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30119656)
中島 主恵 早稲田大学, 理工学部, 助手 (10318800)
郡 敏昭 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50063730)
|
研究概要 |
変分的手法により非線型微分方程式の解の存在問題に関する研究を行い,主として非線型楕円型方程式,ハミルトン系を扱った.ここでは字数の関係から非線型楕円型方程式に限定して述べる. 研究代表者は方程式が空間変数χに依存する場合に空間に関する非一様性の解構造への影響を研究した.特にR^Nでのスカラーフィールド方程式の正値解の存在,多重度を示すことに成功した.共同研究者中島は相転移問題に関連した空間非一様性をもつ1次元での特異摂動問題について昨年度に引き続き考察し,集中する内部遷移層をもつ不安定な解を優解,劣解法により構成した.また研究代表者と中島はその変分的方法による簡明な別証明を与え,さらに境界層をもつ解の構成を行った.ここで用いられている方法はハミルトン系等に対する特異摂動問題に対しても応用をもつと期待される.この話題は次年度の課題のひとつとしたい.また共同研究者柴田は非線型楕円型方程式に対する変分固有値等の漸近挙動を非常に詳細に求めることに成功した.前述の特異摂動問題に対する解の構成においては,変分固有値が非常に有効に用いられており,柴田のその漸近挙動に関する手法を適用することにより,特異摂動問題の詳しい解析が可能となることが期待される. さらに共同研究者倉田はChern-Simon-Higgsゲージ理論に現れる定在波の存在証明,ある種の楕円型作用素の第一固有値の最小化問題の研究を,また大谷は外部領域におけるスカラーフィールド方程式の正値解の存在の研究を変分的手法により行った. 研究者の連絡の場として都立大学での変分問題セミナー,早稲田大学における応用解析研究会を2,3週間に一度の割合で開催し,情報,問題意識等の交換を行いつつ研究を進めている.来年度はハミルトン系に関する特異摂動問題等に変分的アプローチを重点的に試みたい.
|