銀河団を含めた視野を30程、一月に数回のモニター観測を7つの公共天文台(西はりま、佐治、みさと、綾部、美星、かわぺ、各天文台、および久万高原天体観測館)にある口径60cmから1mの望遠鏡を用いて4年間にわたって行ってきた。しかし、超新星が発見されたという報告はなかった。しかし、一方でこの観測の副産物として高速移動する恒星が検出され、天文学会秋季年会において記者会見を行い発表した。 また、本研究で開発された新天体自動検出用プログラムは、土居が主研究者となって提案した「すばる」を用いた遠方の超新星探索観測に役立った。その結果、30近い候補天体が見つかった。そのうち7つに絞ってFOCASを用いた分光観測を行なってスペクトルを得た。そのスペクトルを解析し赤方偏移を測ることで、それらが遠方のIa型超新星であることがわかった。今後も土居がアメリカの研究者と協力してすばるとHSTを用いた遠方超新星探索の研究を発展させていく予定である。 理論的なモデル構築に関しては、まず、早期型銀河を取り囲む高温ガスの理論的なモデルとして、巨大楕円銀河M87の観測を説明することを試みた。また、超新星出現頻度を理解する上で重要な星形成史のモデルを構築すべく、新しい初期銀河の化学進化モデルを構築した。このモデルでは星形成は衝撃波によって一旦圧縮されたガスから星が形成されると仮定している。そうすると、我々の銀河系に存在する金属欠乏星の観測を再現する事がわかった。今後は、このモデルをさらに発展させて早期型銀河を含めた様々な銀河に応用することを考えている。
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