昨年度に引続き星間分子雲コアの重力収縮過程について研究した。 ・富阪は、母体の星間分子雲コアの回転がトロイダル磁場を励起し、これの効果で落下するガスのかなりの割合が放出されるアウトフロー現象について調べた。初期の回転角運動量および初期に星間分子雲コアを貫く磁束の量によって、どのように進化が異なるかを調べた。その結果 -初期の回転角運動量の大小は、アウトフロー現象の始まる時期を決定しており、回転角運動量の大きいほど、断熱コア形成後すみやかにアウトフロー現象が発現すること。 -初期の磁場の強さが、磁気圧がガス圧と同程度となる場合は、強い層流的アウトフローが形成されること。 -初期の磁場の強さが、磁気圧がガス圧より十分小さい場合は、折り畳まれた磁力線を包む磁気泡の構造が形成されそれが膨張すること。この磁気泡内部では、乱流的な乱れた速度構造が見られることがわかった。 ・中村は、回転も磁束も持っていない星間分子雲コアの重力収縮過程について調べた。 -回転も磁束も持っていない星間分子雲コアの重力収縮の結果は球状の原始星(protostar)と周囲のガスエンベロープが形成されるのみと考えられてきたが、 -力学釣合にあると考えられる母体の分子雲の形状によっては、収縮する星間分子雲コアは、原始星とともに星周ガス「円盤」を形成する場合があることを始めて見つけた。
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