2年間での本研究で、超銀河団やウオール、ボイドなどからなるLocal Universeの大規模構造とその特異運動に関する観測的研究の準備が大きく前進した。南半球の全天について、オーストラリアのサイディんグ・スプリング天文台UK Schmidt望遠鏡を用いた約10万個の銀河の赤方変移を測定するプロジェクトが、2001年6月から本観測がスタートする予定である。以下、これまでに進んだ予備的な研究をまとめておく。 1)運動を調べるため、赤方変移測定用の銀河のhomogeneous sampleの方針として、2.2μ赤外線全天サーベイ(2MASS All Sky Survey)で検出された銀河のうち、K<13.7magより明るい銀河約12万個とすることとした。 2)この方針に基づいて、ハーバード大学のJ.Huchra教授の協力のもと、へびつかい座領域について、サーベイ用銀河のカタログを一部完成させた。 3)このリストと、我々が独自でSERC-J Sky Surveyに基づいてピックアップした銀河との相関を調べ、銀河の座標が3 arcsec以内の精度であることがわかり、観測に支障のないことを確認した。 4)サイディんグ・スプリング天文台では、UK Schmidt望遠鏡用の多天体分光器の製作が順調に進み、光ファイバーのポジショナーが2001年2月中に稼動し始め、最後の調整を5月までに終えて、6月からの本観測の目処がついた。 5)へびつかい座領域の観測が2001年7月13日から6夜割り振られることが確定した。
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