研究概要 |
本年度の予算により本学理工学部機械工学科工作工場に依頼し,HOPSの設計図に基づき本体の製作を実行すると共にフィルターおよび自動偏光子を別途購入し,既に購入済みの半波長板を加えて本体に組み込み,平成12年10月下旬に二次元撮像装置の完成に漕ぎつけることができた。同年11月2日から5日まで,この撮像装置を京都大学理学部付属飛騨天文台の65cm屈折望遠鏡に装着し,木星および金星の撮像試験観測を行ったが,望遠鏡との整合性や撮像性能が極めて良好であることが判明した。得られた測光データを偏光度に変換するための最適な処理方法を策定中である。 可視域から近赤外域に至る13波長で観測された木星の周縁減光曲線を表すために雲粒子の位相関数をミー散乱理論で近似しようという試みが一応の成功を収め,得られた結果がPib.Astronom.Soc.Japan,Vol.52,363-374,(2000)で公表された。 また,小位相角で観た惑星大気の低緯度帯に沿う偏光度分布を理論的に計算しようとする際に生じる数値計算上の困難を,内挿法の工夫等により著しく解消することに成功し,その成果はAppl.Math.and Comp.,Vol.116,115-132,(2000)の公表された。さらに優れた計算方法を見出す努力も続行中である。 ハイオニア金星探査機の観測で金星大気中に多量のもや粒子の存在が判明したが,1978年以前は同であったかに関しての情報が欠けている。1975年に得られたマリナー10号の測光データはそうした情報を提供してくれる可能性がある。この観点から金星赤道帯の輝度分布データの理論解析を開始した。暫定的な結果は予想を上回る量のもや粒子がマリナー10号の到達時に既に発生していた可能性を強く示唆している。
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