研究課題
基盤研究(C)
本研究では複数の輝線による太陽コロナの多温度同時観測、また、将来に向けた大口径コロナグラフ実現のための技術的基盤を確立することを目指して、口径15cmの超研磨鏡による反射式コロナグラフの開発をおこなった。主たる技術的課題は、1)低散乱軸はずし放物面鏡の開発2)逆オカルティングディスク穴あき金属鏡の製作、3)像追尾のための主鏡角駆動機構の開発である。主鏡は平成12年度より、低膨張ガラスを用いて研磨を開始した。軸はずし放物面鏡であるため、4つの15cm基盤を同一のセル上に固定し、約45cmになる単一放物面を研磨する方法をとった。干渉計測による鏡面形状の評価を経て同年1次試作品を完成している。また、平行して鏡面の荒さを評価するため、散乱光測定装置を製作した。これはレーザー光を被検ミラーに当てあらゆる角度に向かう散乱光強度を光センサーで測定するもので、平成13年度に完成し試作ミラーの評価を行った。平成13年度は逆オカルティングディスク穴あき金属鏡を製作した。これは銅の基盤にカニゼンメッキをほどこし、球面に研磨したものであるが、穴のエッジ部の加工精度に課題を残している。平成13-14年度はまた主鏡駆動機構の開発をおこなった。これは2本のピエゾ圧電素子でジンバル機構によって保持された主鏡の角度を高速に制御するもので、主鏡による太陽像を正確にオカルティングミラーにガイドする役割を果たす。現在ピエゾ素子の機械的特性、主鏡駆動の周波数応答特性など評価中である。ミラーコロナグラフを観測システムとして完成させる所までは至ることができなかったが、主たる技術的課題に関する見通しを得ることができた。
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