弦理論において、その物理的特性を調べる意味でブラックホールは重要な役割を果たすことが知られている.また、現実的なブラックホールからの重力波の研究にとって、その波動の研究は重要である.本年度における主な成果は、このブラックホールの吸収係数に関する解析的な研究をおこなった点である。現在までブラックホールからのさまざまなスピンを持つ粒子の波動関数を解析的に解くことは、本研究者のここ数年の研究によって達成されてきたが、それはいままでよく知られていない方程式の解析であった.ところが、本研究者を含む研究により、宇宙項のある場合のブラックホール解での波動関数は、宇宙項のない場合に比べて解析的性質が良くわかることを示すことができた。よって、この解析の後に宇宙項のない極限を考えて現実的なブラックホールのまわりでの波動関数の研究が系統的におこなえることが示された
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