研究概要 |
(1)トポロジカル項を含むCP^<N-1>模型の連続極限での性質を調べるために,固定点作用を用いた数値シミュレーションを行った.CP^3模型では種々の物理量についてスケーリング則が成り立つがCP^1模型ではスケーリング則の破れが大きいという結果が得られた.またトポロジカル荷電分布を詳しく調べることによりインスタントンの性質について有益な情報を得た.これらは"CP^<N-1> Models with a θ Term and Fixed Point Action",Prog.Theor.Phys.vol.106 No.3(2001),613〜640,R.Burkhalter,M.Imachi,Y.Shinno and H.Yoneyama.に発表した. (2)テータ項がある場合のシミュレーションは正定値のボルツマン因子ではなく複素数のボルツマン因子となるため数値計算は困難を避けられない.最大エントロピー法(Maximal Entropy Method,MEM)を適用することがこの問題に有効かどうかを議論した(新野,米山,井町,牟田). (3)Z_N gauge理論においてθ-項が存在するとき磁気単極子から電荷が誘起され電荷,磁荷両方の凝縮がおきその結果oblique confinementが生じるといわれている.この問題はCardy-Rabinoviciにより自由エネルギーの考察から分析された.われわれはこの問題にMigdalの実空間くり込み群の方法でとりくむことを試みている(井町). CP^<N-1>は射影空間であって群ではないが,群論的自由度を持つ系の分析で有効性を発揮したキャラクター展開の方法がCP^<N-1>の系にも適用できるかを今後検討していく(井町). (4)平成14年1月東北大学理学部の高木富士夫氏を招いて,クォークグルオンプラズマの最新の状況を報告していただき討論した. (5)平成14年2月山形に一瀬(郁)(名工大),松居(近畿大),坂本(神戸大),江沢(東北大),新野,牟田,米山(佐賀大)を招いて,「閉じこめ,テータ項,対称性の破れ」についてゆったりした日程で議論し今回の研究計画の発展に有益な示唆を得た.
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