研究概要 |
QCDにおけるカラー閉じこめ機構について、連続場理論のBRS対称性を基礎にした九後・小嶋カラー閉じこめの判定条件が提案されて20年以上が経つが、非摂動的力学の解析の難しさのために検証されてこなかった。さらに非可換ゲージ場の固定縮退がカラー閉じこめの原因であるとするGribovの理論とそれを発展させた格子場のZwanzigerの理論の検証もすべてLandau gaugeにおける非摂動力学の解析によってのみ可能となる。これらの問題に対しLandau gauge格子QCDのシミュレーションによる最初の数値的検証を行った。九後・小嶋条件のu^<ab>|_<p=0>=-cε^<ab,>c=1に対し閉じこめ領域のβ=5.5;8^4,12^4,16^4格子ではcはc【approximately equal】0.7となり、対称格子における見かけ上の閉じこめ・非閉じこめの境界領域β=6:16^4.12^4.8^4格子においてはcはc=0.63〜0.3であった。u^<ab>dataはよくカラー空間の対角線性δ^<ab>を表している。一方、Gribov・Zwanziger理論で注目されるグルーオンpropagatorやゴーストpropagator、特にInfraredの振る舞いを調べた。前者はInfrared finiteであり、後者は1/p^2よりはsingularとなるが1/p^4程にはならない。数値dataからグルーオンはmassiveとなる。従って九後・小嶋のInverse Higgs machanism定理によるとc=1となり、閉じこめが成立することになる。しかし、上述のように直接測定のcについていえば格子サイズとともに増大する傾向にあるが、現状での格子サイズ依存の振る舞いからはc→1のように結論できそうにはない。ZwanzigerのHorizon関数の振る舞いをシミュレーションから測定し、九後・小嶋閉じこめ条件との関係を論じた。 Landau gauge固定のAlgorithmは、特にβが小さくても完全にGribov copyを避けられるものという意味では未完成である。Random gauge変換(inutation)を如何に効率よく組み入れるかを中心に遺伝的アルゴリズムの観点から種々の方法について、最適点の発見率と処理時間の点から、それらの効率の比較検討を行った。
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