研究課題/領域番号 |
11640252
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小関 忠 東京大学, 物性研究所, 助手 (70225449)
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研究分担者 |
伊澤 正陽 高エネルギー加速器研究機構, 物構研, 教授 (10168164)
神谷 幸秀 東京大学, 物性研究所, 教授 (20132681)
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キーワード | 電子蓄積リング / 高周波加速 / 高次モード / 高次モード減衰型加速空洞 / バンチ結合型ビーム不安定性 / 高次モードダンパー / SiC吸収体 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、同軸導波管型高次モードダンパーの開発研究を実施した。本ダンパーは、SiCビームダクトを持つ高次モード減衰型加速空洞(フォトン・ファクトリー(高工研)及びNew SUBARU(姫路工大)で稼働中)において、ダクトの遮断周波数以下であるためにSiCダクトで吸収できない9つのモード(トラップドモード)を減衰させるためのものである。ダンパーは、高次モードの周波数離調用ブロック、ロッドアンテナ、同軸導波管、及び電磁波吸収体から構成されており、吸収体にビームダクトと同じSiCを用いることで小型化、軽量化を図っている。昨年度、本科研費の初年度分によって実機モデル1台を製作して空洞のフリーポートに設置し、高周波特性試験、及び大電力試験を実施したところ良好な結果を得た。なお、本加速空洞には水平方向、垂直方向に1つずつフリーポートが設けられており、その各々にダンパーを設置すれば、縮退の解けたダイポールモードを両方向とも減衰させることができる。 昨年度の諸試験は、実機のダンパー1台と低電力用のプロトタイプ(高周波試験)、固定チューナーブロック(大電力試験)とを併用して行ったが、今年度の試験は実機のダンパー2台を用いる実際の使用条件で実施した。高周波特性試験においては、これまでの予測通り6つのトラップドモードを十分に減衰できることが明らかになった。また、本ダンパーが、加速モードに対してはほとんど影響を与えないことも確認された。大電力投入試験では60kWの電力投入に成功した。2台のダンパーとも、放電や異常な温度上昇はまったく観測されなかった。このことは本ダンパーが60kWまでは実用化可能であることを示している。
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