研究概要 |
本年度の研究計画として考えていたNJL模型に基く核子の記述とその構造関数,形状因子等の計算については,東京大学大学院理学系研究科のベンツ博士および大学院生峯尾浩文氏との共同研究として進め,3個のクォーク系に対する相対論的Faddeev方程式をstatic近似(交換されるクォークの伝播関数を定数とする近似)で解いた波動関数を用いて,種々のクォーク分布関数および磁気モーメント,電荷半径などを計算した。また,これらの量に対するπ-中間子の雲の影響をπ-中間子に対するoff-shellの効果を無視した近似で調べた。計算したクォーク分布関数をQ^2-発展させ,実験と比較した結果,一致は大まかにはよいこと,cut-offの方法に依存すること,π-中間子雲の効果は小さいが一致を改良する方向に働くことなどがわかった。 平成11年7月23日から9月15日,ドイツ,エルランゲン大学へ出張し,同大学のレンツ教授,ティース教授,太田東大教授らと光円錐上でのカイラル対称性の記述,特にその自発的破れに記述法について共同研究を行った。また,平成12年2月はじめには,清水上智大教授や坂井大阪大学講師と核子間相互作用と核子の内部構造に関して共同研究を行った。
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