研究概要 |
低エネルギーでのハドロン物理で重要な役割を演じているカイラル対称性とその自発的破れを光円錐上で記述する試みは,ドイツ,エルランゲン大学のLenz教授,Thies教授,東京大学の太田教授との共同研究で進めており,研究代表者が昨年7月末から9月始めにエルランゲン大学を訪問した時期に,中間的な結果をまとめる作業を行った。この結果は,最近Phys.Rev.Dに出版された。この共同研究は今後もさらに発展させる計画である。 カイラル対称性を強調した有効模型である南部,ジョナーラミニオ模型による核子の相対論的クェーク模型の研究は,ベンツ東海大助教授および東大大学院生峯尾氏との共同研究で続けており,3体Faddeev方程式に対する静的近似の枠内で,従来のスカラー・ダィクォーク間相互作用に加え,軸性ベクトル・ダイクォーク間相互作用を含めた場合の観測量への影響を調べている. 今年度のはじめには,この研究課題とも多少関連する仕事として,過去約20年にわたって行ったクォーク模型による重粒子間相互作用の総合報告をProg.Theor.Phys.のSupplementに出版する最終段階の作業も行い,完成させた.
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