研究概要 |
電子又は陽電子のビームにレーザー光を照射すると逆コンプトン散乱によって高エネルギーの光子ビームが作られる。この様にレーザービームの照射装置を付加する事により、電子・陽電子衝突型加速器を、電子・光子、あるいは光子・光子衝突型加速器に変更する事ができる。これは次期、電子・陽電子線形衝突型加速器計画における、重要なオプションの一つである。本研究では、この光子・光子又は電子・光子衝突型加速器の現象論について研究を遂行するものである。 本年度は、菅本と渡部他2名は共同して、光子-光子衝突過程を用いた、超対称性模型に存在するヒッグス・スカラーおよび擬ヒッグス・スカラーの効果を研究した。光子-光子衝突過程においては中間状態としてヒッグス・スカラーおよび擬ヒッグス・スカラーが生成可能となるが、これらがトップクォークと反トップクォークに崩壊する場合を分析した。入射光子の偏極は制御可能なので、生成されたトップクォークおよび反トップクォークのヘリシティーを測定することによって、種々の干渉効果の解析が可能となり、超対称模型等、複数のヒッグス・スカラーを有する模型の選別に役立つことが分かった[OCHA-PP-130,Dec1999:hep-ph/9912373]。 また関連する仕事として、大下と菅本等は電子ー陽電子散乱におけるウィークボソン対生成過程を研究した。4世代目としてアップ型とダウン型のベクトル型クォークを持つ拡張模型を用いて、これがCPを破るWWZ結合にどの程度寄与するかを調べた[Eur.Phys.J.C10:327-330,1999]。この効果は通常のWWZ結合の0.001%でありそれ程大きな寄与は得られなかった。
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