研究課題/領域番号 |
11640262
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
菅本 晶夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (70132686)
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研究分担者 |
渡部 勇 秋田経済法科大学, 経済学部, 助教授 (30310163)
曹 基哲 お茶の水女子大学, 理学部, 講師 (10323859)
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キーワード | 光子-光子衝突器 / 標準模型を越える物理 / LEP2 / マルカリアン501 / 漸近的離散化 |
研究概要 |
これまでわれわれは、光子-光子衝突型加速器を用いた標準模型を越えるヒッグス粒子の研究を行ってきた。本年度は少し視点を変えて、関連する過程である「光子と光子が衝突し電子・陽電子対を発生する過程」を、活動銀河からの高エネルギーガンマ線問題に適用する研究と、上記の逆過程である「電子・陽電子から2つの光子が発生する過程」を、標準模型を越える新しい模型を構築して研究を行った。(1)始めに菅本は、標準模型を越える新しい素粒子模型として、高エネルギーになると次元が一つ減少して3次元となる模型を「拡張された重力理論と標準模型」として構成した。ここでは一つの次元は、エネルギーの上昇に伴って離散化しながら消滅する。(2)次に菅本と曹は、空間次元の一つが高エネルギーでは離散化し消滅する「拡張されたQED模型」を構成し、これをLEP2によって観測されている、「電子・陽電子衝突から2つの光子が生成される過程」の実験結果と比較した。その結果、実験と矛盾しないためには、離散化する空間次元の格子定数が1/461GeV以下でなければならないことを示した。(3)次に、マルカリアン501銀河から20TeVを越える高エネルギーガンマ線が観測されているという困難を解決するために、上記の「拡張されたQED模型」をこの問題に適用した。この模型では反応のしきい値が上昇し、その結果、20TeVのガンマ線が観測されることが困難とはならない可能性が現れた。(4)その他の研究としては、フェルミ加速器研究所のTevtron実験において、ボトムクォークが予想外に数多く生成されているという問題を研究した。この問題を解決するために、超対称性模型を用いて「スカラーボトム粒子とグルイノ粒子が軽い」とするシナリオが提唱されていた。曹は、このシナリオがLEPとSLCの電弱過程を用いた精密実験の結果と矛盾し、正しくないことを指摘した。
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