現時点での研究の到達点を報告します。それぞれの項目に関して論文にまとめているところです。 1.自己重力系の鞍点法評価 1次元、3次元の自己重力で相互作用し合う系の統計力学を構成し、分配関数を鞍点法で評価した。1次元では2次相転移、3次元では1次相転移であることがわかった。さらに後者では、自由エネルギーにも跳びが現われ、相転移は通常の臨界泡の形成を経ずして急激に起こることがわかった。 2.Tsallis統計力学とCfAII南データ解析 非示量性のエントロピーから出発する新しい統計力学において、オイラー関係式を一般化し、銀河の大規模な分布に適用した。負のパラメターqが得られ、これは重力系の持つ本質的な不安定性をあらわしていると考えられる。さらに、この統計力学においては、温度が非示強性を示し、スケールによって速度分散が違ってくる可能性も指摘した。 3.フラクタル構造の出現(負の比熱・宇宙膨張) 1次元上に拘束された自己重力系の示すフラクタル性の起源を追求した。近距離力の特異性からくる負の比熱、あるいは宇宙膨張がフラクタル構造を作る根元であるらしいことが解ってきた。なお、速度分布にも非ガウス的な分布が現れるが、過渡的なものである可能性が高い。 4.ガンマ線バーストの時系列解析 30年来起源の解っていないこの天体に関して、バースト時系列をフーリエ解析して普遍的な構造を探った。低周波領域に切断のないパワースペクトルが得られた。ガンマ因子の比=30を考えると、それは活動銀河核のもつそれに酷似しているので、ガンマ線バーストも強力な宇宙ジェットが関係しているらしい。
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