B中間子の準レプトン崩壊の形状因子の計算に、中間子波動関数の高次ツイストの効果とthrethould resummentionの効果を新たに加えた。結果は実験データや他の理論とよい整合性のあるものを得ることができた。さらにB中間子がDs中間子とπ中間子に二体崩壊する分岐比を、同様の効果を取り入れて求めた。この結果は現在進行中のB中間子工場での実験結果の解析にも用いられ、小林・益川行列のub要素に対する制限が得られている。これらの結果は「第4回B中間子物理とCPの破れに関する国際会議」で発表され、会議の報告集に掲載予定である。同様の解析を他の崩壊様式についても行う計算が現在進行中であり、近いうちに発表できる見込みである。 次世代B中間子物理実験の将来計画に関する研究も同時進行させており、現在の施設では測定困難なB中間子崩壊が将来観測されるようになった場合に、どのような解析を行なえば、新素粒子模型の探求に役立つかを検討している。 神岡のニュートリノ実験施設で平成13年度より稼働を開始するカムランド検出器を用いた場合に、原子力発電所から出てくるニュートリノがどのような割合で検出されるかの予備的な計算を行なった。ニュートリノ混合行列のパラメータを、他の実験からの制限も考慮して、今後どれほど精密に決定していくことができるかを検討した。
|