研究課題/領域番号 |
11640269
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大東 出 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (90303594)
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研究分担者 |
岩田 高広 名古屋大学, 理学研究科, 助手 (70211761)
森 邦和 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (70022663)
堀川 直顕 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (70022697)
若井 篤志 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 非常勤研究員
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キーワード | 核隔合 / 偏極標的 / スピン / NMR |
研究概要 |
低エネルギー領域において実験を行うには標的物質は薄膜(〜1mg/cm^2以下)である必要がある。この条件を満たすために我々は重陽子化ポリエチレンを標的物質として採用した。ポリエチレンに不対電子を混入する方法として二つの方法を用いて測定を行った。一つ目の方法はTEMPOという不対電子を持つ化学物質を混入し、この不対電子の偏極を用いる方法である。この方法による重陽子核の到達偏極度はTEMPO濃度(3.0±0.2)×10^<19>/cm^3,温度480mKの条件下で11%である。もう一つの方法は液体窒素中に置かれた重陽子化ポリエチレンに7MeV電子線を照射することにより、ポリエチレンの原子間の結合を切断してやることにより不対電子を生成する方法である。この方法により1×10^<16>e^-/cm^2の照射量において16.7±1.7%の偏極度が達成された。これはこの種の高分子体を用いたものでは世界最高偏極度である。 我々が原子核を偏極させるのに用いる動的偏極法には極低温(100mK以下)をかかすことはできない。この極低温を実現するための^3He-^4He希釈冷凍器、及び冷凍器内に設置する2.5Tesla超伝導ヘルムホルツコイルを制作した。テスト、改良の結果現時点での冷凍器の性能は最低到達温度200mK、500mKにおいて2.6mWという冷却能力を達成した。 2.重陽子偏極標的物質の開発 低エネルギー領域において実験を行うには標的物質は薄膜(〜1mg/cm^2以下)である必要がある。この条件を満たすために我々は重陽子化ポリエチレンを標的物質として採用した。ポリエチレンに不対電子を混入する方法として二つの方法を用いて測定を行った。一つ目の方法はTEMPOという不対電子を持つ化学物質を混入し、この不対電子の偏極を用いる方法である。この方法による重陽子核の到達偏極度はTEMPO濃度(3.0±0.2)×10^<19>/cm^3,温度480mKの条件下で11%である。もう一つの方法は液体窒素中に置かれた重陽子化ポリエチレンに7MeV電子線を照射することにより、ポリエチレンの原子間の結合を切断してやることにより不対電子を生成する方法である。この方法により1×10^<16>e-/cm^2の照射量において16.7±1.7%の偏極度が達成された。これはこの種の高分子体を用いたものでは世界最高偏極度である。 3.偏極度測定用NMRシステムの開発 薄膜標的を用いることにより、従来のQメーター方式のNMRシステムではSignal/Noise比が悪く、微弱な共鳴信号を観測することが困難になるため、新たに従来の回路特性の欠点を補うNMRシステムを構築した。旧来の共鳴周波数(ω=2π/√LC)固定方式ではなく、周波数の変化に応じて共鳴周波数も同時に変化させる方法を用いた。具体的にはCの値を電気的に変化させ、常に測定点がQカーブの頂点となるように変更した。また、Qカーブの頂点の電圧が周波数に応じて変化するのを防ぐため、LCR共振回路内に伝送ケーブルを含まない回路に変更したため従来に比べ飛躍的にS/N比を向上させることに成功した。
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