アインシュタイン方程式に対して長波長展開を行い、摂動項を0次解に含まれる空間に関する任意関数に繰り込む事で、揺らぎの長波長成分の非線型時間発展を表現する繰り込み群方程式を導出することに成功した。繰り込みを行わない摂動解は有限時間で、摂動項が支配的になり、展開が破綻してしまう。繰り込みによって、これがどのように改善されたかを吟味するために繰り込み群方程式をいくつかの状況の下で解いて、その解が物理的に何を表しているかを解析した。その結果 1)一様等方空間の場合は、3次元曲率項を持つ一様等方宇宙に対するフリードマン方程式の近似解を再現する。 2)球対称空間の場合は、物質優勢の膨張宇宙でのブラックホール形成を表すアインシュタイン方程式の厳密解であるTolmann-Bondi解に対する近似解を与える。 3)面対称空間の場合は、1次元的重力崩壊を表すアインシュタイン方程式の厳密解であるSzekers解そのものを再現する。 以上より繰り込みの手法を用いて簡約化したアインシュタイン方程式は、元々の方程式が持つ非線形効果を定性的にきちんと取りこんでいると結論される。方程式の構造も、元々は双曲型であったものが繰り込みの操作を通じた自由度の簡約化により放物型に変わり、数値的に解を求める場合にもより簡単に取り扱うことが可能となる。
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