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2001 年度 実績報告書

終端型時空特異点の分類による宇宙検関仮説の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11640273
研究機関京都大学

研究代表者

小玉 英雄  京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40161947)

研究分担者 中尾 憲一  大阪市立大学, 理学部, 助教授 (90263061)
キーワード時空特異点 / 高次元宇宙 / ブレインワールドモデル / ビアンキモデル / トポロジー / フープ予想 / ブラックホール / 局所一様系
研究概要

本年度は、小玉が局所一様系の力学構造および高次元時空へのブレイン埋め込み問題の研究を、また、中尾がブレインワールドモデルにおけるフープ予想の研究をおこなった。具体的な内容と成果は次の通りである。
1.局所一様系:局所的に一様でコンパクトな空間をもつ宇宙モデル(コンパクトBianchiモデル)の研究は、最近、宇宙背景輻射の非等方性の観測により空間のトポロジーに関する情報が得られる可能性が指摘され、注目されている。本研究では、数年前に小玉により提案された定式化を用いて、流体を含むコンパクトBianchiモデルの初期値空間の構造をすべての可能なトポロジーに対して完全に決定した。特に、Bianchi III型およびVIII型に対応するモデルは空間の位相が複雑につれ限りなく力学自由度が増大し、インフレーションモデルのもとでは、宇宙のトポロジーとして最も実現される可能性の高いものであることを指摘した。この成果は、Classical and Quantum Gravity誌、Int. J. Mod. Phys.誌およびProgress of Theoretical Physics誌に掲載された。
2.ブレイン埋め込み:現在、高次元宇宙モデルの有力候補として、ブレインワールドモデルが精力的に研究されている。このモデルに関して現在最も注目されている問題は、ブラックホール解の存在と構造である。この問題に対する一つのアプローチとして、静的ブラックホール解を含む球対称静的な高次元時空(バルク)の境界となりうる真空ブレインの構造を組織的に調べた。その結果、ブレインは必ず高い空間的対称性をもち、しかも決してブラックホール的な構造を持つことはないことを示した。現在この成果を発表するための論文を作成中である。
3.高次元フープ予想:Randall-Sundrum型のブレインワールドモデルにおいて、ブレイン上に円筒対称な配位を持つ物質が存在する初期データで、ブレイン上およびバルクのいずれにも閉補足面の存在するものを構成することに成功した。これは、ブレインワールドモデルではフープ予想が破れることを意味しており、特異点問題にとって重要な意味を持っている。この成果については、現在論文を準備中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hideo Kodama: "Phase Space of Compact Bianchi Models with Fluid"Progress of Theoretical Physics. 107・2. 305-362 (2002)

  • [文献書誌] J.D.Barrow, Hideo Kodama: "All Universes Great and Small"International Journal of Modern Physics D. 10. 785-790 (2001)

  • [文献書誌] Osamu Seto, Hideo Kodama: "Gravitational waves in cosmological models of Horava-Witten theory"Physical Review D. 63. 123506-1-123506-8 (2001)

  • [文献書誌] J.D.Barrow, Hideo Kodama: "The Isotropy of Compact Universes"Classical and Quantum Gravity. 18. 1753-1766 (2001)

  • [文献書誌] T.Harada, H.Iguchi, K.Nakao, T.P.Singh, T.Tanaka, C.Vaz: "Naked singularities and quantum gravity"Physical Review D. 64. 041501-1-041501-5 (2001)

  • [文献書誌] K.Nakao, H.Iguchi, T.Harada: "Newtonian Analysis of Gravitational Waves from Naked Singularity"Physical Review D. 63. 084003-1-084003-15 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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