研究概要 |
1.弦理論に基づいて、T-双対性を考慮した宇宙模型を用いて宇宙初期における時空の概念の変更について議論した。弦理論には、運動量に共役な通常の座標xと巻き付き数に共役な座標qの2種類の座標が存在する。両者は非可換なため同時に対角化することはできず、現在のような大きな宇宙ではxのみが座標として認識されている。しかしながら宇宙初期においてプランク長さ程度の大きさの宇宙においては両者は混在し、その間に遷移が起こると考えられる。ここでは有限温度における弦の運動量と巻き付き数の相関を計算し、これを基に宇宙初期における、xとqの間の遷移を議論した。 2.3次元反ドジッター空間上の超弦理論の厳密な構成及び、ユニタリティーやN=(4,4)時空超共形対称性について考察した。これを高次元に拡張するのは困難であることから、同種の双対性を示す線型ディラトン背景時空上の弦理論をあらためて考察した。この模型は、弦理論として厳密に量子化できるために、高次元の場合にも相関関数等を厳密に計算することができ、種々の性質について超重力近似を越えた議論が可能となる。これらについては、次年度以降も継続して研究していく予定である。
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