| 研究概要 |
本年度は、場の理論において非常に基本的な重要性をもつと考えられる結果を得ることができた。具体的には、ゲージ理論が物質場だけの理論として定義できることを示した。(参考文献[1])
Heisenbergの統一場の理論に始まって、素粒子の相互作用を媒介するゲージ場を物質場から生成する、という考えは歴史が古く、ゲージ理論を物質場だけの理論として表す試みはずいぶんとなされてきた。私の仕事[1]は、2つの点で新しい貢献をしたと考えられる。1つは、一見繰込み不可能な物質場の理論がなぜ繰込み可能になるかを、繰込み群という現代的な観点をもちいて示したこと。もう1つは、理論にゲージ対称性があるかないかをWard identitiesの有無として厳密に調べていることである。論文[1]で議論されている理論は、いわゆる繰込み不可能な場の理論であるが、パラメターを調整することによってこれらの理論は繰込み可能になることを詳述した。
研究実施計画では、本年度はφ4乗理論及びU(1)Higgs理論の相転移を研究するとなっていたが、U(1)Higgs理論の高温度での振る舞いは、その高エネルギーでの振る舞いに関係していて、必然的に紫外カットオフへの理論の依存性を研究することになった。本年度の成果は、広い意味で、実施計画に沿った内容となった。
参考文献:[1]H.Sonoda,"QED out of matter,"KOBE-TH-00-01,hep-th/0002203(19pages)
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