ストレンジネスを持つ2体バリオン系に対してone-boson-exchange potential(OBEP)を構築し、各系の力の機構を解明する目的で研究を実行し次ぎの結果を得た。 (1)ΛN-ΣN結合系のOBEPを構築し、従来の望ましくない特徴(実験事実に反する共鳴と束縛状態の存在)を除去することに成功した。これにより、複数中間子の相関状態(κ、Ω、Ρ)の交換の導入が必要であることを明らかにした。 (2)ΞN系OBEPを構築し、それを用いてΞ-nuclear matterに対するG行列を得た。これを^<12>C、^<14>N、^<16>O核に適用してΞ-核原子のpotentialを構築した。これによる原子エネルギースペクトルの理論値を得た。比較可能なデータ5個を大体において説明する結果を得た。これによりシグマ中間子の結合常数の値を明らかにした。 (3)ΛΛ-ΞΝ-ΣΣ結合系のOBEPを導出し、その性質を調べた。 これらの成果は「中間子・核子物理学」国際シンポジュウム(スイス、ズオーツ)、「超原子核物理学」国際研究集会(米国ジェファーソン研究所)、「少数体系物理学」国際会議(千葉、柏)及び国内学会・研究会で発表し公開した。更に、当該研究課題と密接な関連がある研究をしているNijmegem大学(オランダ)及びJuelich核物理学研究所(ドイツ)の研究グループを訪問し、相互の成果について交換・検討をした。
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