ストレンジネスを持つ2体バリオン系の相互作用

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11640281
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 上田 保 愛媛大学, 理学部, 教授 (40029492)
• キーワード: ストレンジネス / ハイパー原子核 / ハイペロン / 核力 / 超核子力 / ラムダ粒子 / シグマ粒子 / グザイ粒子

研究概要

核子・核子相互作用に対するOne-Boson-Exchange-Potential(OBEP)模型を基礎にとり、1中間子の交換にはSU3対称性理論を適用し、相関2中間子の交換は有効1中間子の交換として表現し、SU3対称性を破る要素として扱う。これにより、核子・超核子相互作用の理論への拡張に成功した。成果は次のIとIIに分類できる。
I ∧ N-Σ N結合系に対するOBEP模型の構築と超核子多体系への応用
この理論は∧ N-Σ N結合系の散乱の実験事実を正確に記述する事を証明した。∧を含む3体系(Hypertriton)に応用し、その結合エネルギーを説明する事を証明した。既存の理論とはΣN間の相互作用に特徴的相違がある事を指摘すると共に将来の実験で区別する事を提案した。
II ΞN及びΞΞ系に対するOBEP模型の構築とΞ-超原子及びΞ-超原子核への応用
ΞN系のOBEP模型を構築し、これからΞ-核子物質の系のG行列を導出し、G行列からΞ-原子核間のポテンシャルを導出した。未知のシグマ中間子結合常数をΞ-C超原子核系の実験データから決めた。この結果、Ξ-超原子及びΞ-超原子核の束縛状態を予言した。Ξ-B超原子核の1S状態に対して対応する実験データにピーク構造が認められる。しかし、未だデータの分解能は十分でなく実験精度を上げてより詳細に調べる事を提案した。シグマ中間子結合常数の決定によりΞN及びΞΞ系に対するOBEP模型を決定できて、これらの系の散乱断面積及びΞΞ系の束縛状態を予言した。

研究成果

• [文献書誌] T.Ueda: "Pionic Form Factors and Threshold Structure of TCNN Amplitude"TCN Newsletter. 15. 226-229 (1999)
• [文献書誌] T.Ueda,K.Tominaga 他: "Ehime Approach to YN and YY Forces"Soryushiron Kenkyu. 101. E5-E7 (2000)
• [文献書誌] T.Ueda,K.Tominaga 他: "∧N,∧∧ and ≡N Atractions in the Intermediate Force Range"Few-Body Systems Suppl.. 12. 372-377 (2000)
• [文献書誌] N,Hiroshige 他: "The np→d(ππ)° Reaction with the σ-Model and △△ Model"Few-Body Systems Suppl.. 12. 466-469 (2000)
• [文献書誌] T,Ueda: "Hadron Dynamics in Meson-Baryon Few-Body Systems"Few-Body Systems Suppl.. (印刷中). (2001)
• [文献書誌] T,Ueda: "Effective OBE Potential for ∧N and ΣN Systems"Nuclear Physics A. (印刷中). (2001)
• [文献書誌] T,Ueda 他: "ジェファーソン研究所主催「超原子核物理学」国際会議録"東北大学橋本治 他(印刷中). (2000)