軽いハイパー核の3体・4体構造を精密に計算するための「ヤコビー座標系ガウス型基底関数を用いるチャネル結合変分法」のコードがほぼ完成し、A=4のラムダハイパー核、A=7のダブルハイパー核の研究に活用した。A=4のハイパー核に対しては、N+N+N+lambdaというチャネルとN+N+N+sigmaというチャネルをあからさまに取り入れた。NSC97fというハイペロン-核子相互作用、AV8という核子-核子相互作用を用いて、エネルギーレベル、波動関数が精力的に計算した。この4体問題計算は、今回の科研費により、世界ではじめて実行に成功した。基底状態(0+)のエネルギーはほぼ再現され、励起状態(1+)はやや浅い解が得られた。ラムダーシグマ粒子変換相互作用もあからさまに取り入れることができるので、シグマ粒子の役割の研究が大きな要素となった。それぞれの状態に対して、シグマ粒子の混合率は約2%、1%であるが、両方の状態が束縛するためにシグマ粒子が重要な役割をしていることが明らかにされた。また、ラムダーシグマ粒子変換によるシグマ粒子の励起によってラムダー核子3体力が生じるが、これを克明に計算する方法を開発した。その効果は、基底状態に対して、0.5MeV程度の引力効果、励起状態に対しては、0.1MeV程度の斥力効果であることが解明された。これらの研究成果は、2000年の第16回少数粒子系物理国際会議、第7回ハイパー核物理国際会議において招待講演された。 同じコードがA=7のダブルラムダ核にも適用された。近い将来発見が期待される7Heダブルラムダ核を4He+n+lambda+lambdaの4体模型により計算し、十分束縛した基底状態の存在が予言できることを2000年秋の学会で報告した。
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