本研究の目的は、K_L→π^0vv^^-探索実験(KEK-E391a)におけるトリガー方式の確立である。中性K中間子(K_L)は主に6個の光子に崩壊するが、K_L→π^0vv^^-崩壊は終状態が2個の光子なので、必要なデータを効率良く収集するためには、検出器に入射した光子数を数えることのできるトリガーが必要である。初年度に於いてトリガー方式を考案した結果、K_L→π^0vv^^-及びK_L→2γは約80%、K_L→2π^0は約30%、K_L→3π^0は約90%の認識率が得られ、我々の要求を満たすことがわかった。 次年度では、計画しているKEK中性ビームラインの建設と、その性能を調べるビームサーベイ実験を行った。中性ビームラインはバックグラウンドのコントロールが非常に難しいが、我々の実験の成否を決める極めて重要な部分である。熱中性子fluxに関する測定の結果、ビームのハロー部分では当初の予測とよく一致していることを示した。その他の測定に関しても、シミュレーションとの比較が進められ、全体として良い一致を見たが、ハロー部分の荷電粒子が当初の予想よりも1桁近く多く存在していることが明らかとなった。更にK中間子のfluxを測定するために新たに鉛ガラス検出器を導入して測定を行った。 以上の実験と並行して、KEK-E391a実験で使われるメインの検出器であるCsIのビームテストを、KEK-π2ビームラインで行った。その結果エネルギー分解能が1GeV/cで約2%程度であることがわかった。 CsIは本実験では真空中において使用されるが、真空中でのテストを1、2本のテストより始め、25本が入るやや大型の真空チェンバーを設計製作し、その導入及び立ち上げを行った。
|