研究概要 |
1997年末に南インド、ウーティ山上(東経77度、北緯11度、800g/cm^2)に、1GeV以上のミューオンの入射方向強度が1秒毎に測定可能な、ミューオン検出装置(560m^2)が新たに建設された。モジュレーションの観測装置としては、世界最大の有効観測面積を有している。異方性の測定精度の向上を目指し、今年度の科研費を用いて入射方向別の強度変化の測定用の回路システムを残りのユニットに組み込んだ。3月現在では計画どおりに全ユニット(560m^2)を稼動することが出来,〜70GeV以上の一次宇宙線強度の連続観測を行っている。これまでの観測結果の解析から次の様な結果が得られ,装置の測定精度は所期の目標を達成していることが確認出来た。 1.拡散・対流理論から期待される〜18時の方向の太陽時異方性は、地方太陽時13時30分の方向に振幅〜0.4%で観測された。これは地磁気の影響(〜4時間)を考慮すると期待される方向と良く一致している。 2.データをIMFの方向で分類し解析した結果、スウィンソン・フローによる恒星時異方性(振幅〜0.15%)を検出した。 3.銀河磁場起源による恒星時12時付近の宇宙線強度の欠損の測定 4.太陽系磁気圏の尾部からの流れ込み起源の恒星時6時付近の宇宙線強度の増加 3,4より高緯度での観測では困難であるが、我々の観測地点は赤道に近いため、北半球で見られる欠損と南半球で見られる増加の2つの異方性が一台の装置で観測可能となった。これに関しての角度別測定の結果に関しては、現在解析中である。1998年3月〜2000年3月の期間の全方向強度のデータ解析の結果から異方性が〜0.05%の振幅で観測された。しかし、1998年と1999年の1年間ごとの結果では異方性の位相が2時間程度ずれている。現在、その原因について詳細な検討を行ないつつある。 一方,大面積検出器の特長を生かし、フォービュッシュ減少の2次元的構造の解析等を進め、太陽フレアに伴う磁場の空間構造の解明を目指す。 今後は連続観測を継続し、恒星時異方性に対する太陽活動の影響等を調べる為に年変化について解析を進める予定である。
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