本研究は、高抵抗ガラス板検出器の劣化の原因を解明することを目的とする。この劣化現象は、極板として使用されているガラス板に何か物理的か、化学的な変化が生じて起こるものと考えられているが、今まで、ガスシールドに接着剤を用いていたため、検出器の解体時に、ガラス板を破損して、その原因を調べることが困難であった。 そなため、本研究では、解体可能なようにアクリルのチェンバー容器にガラス板検出器を組み込み、更に、1枚のガラス板に2組の独立の電極板を取り付けた検出器を製作した.これらの極板の一方に通常運転高圧、他方に、破壊高圧を印加し、破壊高圧で運転した極板の検出効率が低下した時点で、チェンバーを解体し、ガラスの両極板部分の物理的(表面抵抗)、化学的変化を比較し、その劣化の原因を調べることを目的とする。 昨年度は、 (1)高抵抗測定器による使用ガラス板の表面抵抗の測定 (2)ガス系、計測系の整備 (3)テストチェンバーを1台製作、組み立て を終了し、標準ガスでチェンバーを運転し、宇宙線を用いてチェンバーの基本特性測定を行い、製作されたチェンバーの両極板は正常に動作していることが確認した。しかし、その後、ガス漏れが発生し、チェンバーの解体し、ガス漏れはアラルダイド接着個所からであることが分り、シリコングリースでシールドした。 その後は、破壊運転のため、印加高電圧を上げていったが、HV>4300Vで放電が発生し、種々の放電対策を試みたが、効果なく、多分、チェンバー内に「ごみ」の混入があったと考えられる. そのため、今回ここで再度、チェンバーの解体・チェックをし、組み立て製作後、再テストを行うことに決定した。
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