研究概要 |
本研究では、安価、操作の容易などの特徴を持つ半導体レーザーを用いて、高分解能原子線半導体レーザー分光装置を開発した。この実験装置によって、希土類元素に対し、高分解能分光を行い、超微細構造と同位体シフトの系統的な研究を行ってきた。多くの原子準位に対し、基礎的な分光データである超微細構造定数を求めた。また、同位体シフトに重点をおき、原子核の位置における電子密度を導いた。電子密度の実験値とHartree-Fockの計算値を比較し、希土類領域における電子密度の系統性を調べた。 レーザー冷却について、Doppler効果を用いて原子速度の計測方法を確立し、テスト実験としてSm原子線の速度を測定した。本実験においてRb原子に対し、熱原子線源による生成された速度の約400m/sの原子を約70m/sまで減速させることができた。 さらに、Li, K,及びRbのレーザーRF二重共鳴分光を行った。レーザーRF二重共鳴分光は、精密分光法として装置が簡単、測定精度が高いなどの特徴がある。原子の超微細構造の高精度の測定には非常に有効である。このような精密測定によって、核の磁気分布を表す超微細構造異常が求められ、磁気8極子以上の高次の相互作用の研究もでき、原子核の高次電磁モーメントが得られる。本研究は、残留磁場におけるRF共鳴スペクトルを観測した。これは、従来の残留磁場を補正する方法より、方法が簡単で、磁場補正の不十分によるZeeman分岐の広がりがないため、測定精度が高い。本研究では、^<6.7>Li,^<39.41>K,及び^<85.87>Rb原子の基底状態の超微細構造を1kHz以下の精度で測定した。そして、超微細構造定数を求め、超微細構造異常を調べた。
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