研究課題/領域番号 |
11640291
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
政池 明 福井工業大学, 工学部, 教授 (40022587)
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研究分担者 |
大竹 淑恵 理化学研究所, 播磨研究所, 研究員 (50216777)
河合 武 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (20027436)
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キーワード | 中性子 / 波動特性 / 空間対称性 / 時間対称性 / 中性子干渉 / パリティ / スピン回転 / 陽子偏植 |
研究概要 |
本年度は、低速中性子による中性子共鳴状態及び非共鳴状態におけるパリティ非保存効果の測定結果を詳しく解析し、それに基づいてハドロン-ハドロン相互作用における弱い相互作用の効果を定量的に求めることを中心に研究を進めた。まず、中性子エネルギー250〜1900eVにおけるトリウム核のパリティ非保存効果の測定値を解析した。数年前に明らかになった250eV以下のデータでは、パリティの破れはすべて同符号であったが、この測定の行われた高エネルギー側では両方の符号のものが観測され、strength functionはS^1_<1/2>=(1.68±0.61)×10^<-4>及びS^1_<3/2>=(0.75±0.18)×10^<-4>であることが示された。 一方,インジウム核のp波共鳴については中性子エネルギーが6〜316eVの領域で全断面積のヘリシティ依存性を測定し、9個の共鳴で統計的に優位な非対称を観測した。この測定結果より弱い相互作用のマトリックス要素が約0.67meVであり、Γ_W〜1.30×10^<-7>eVであることが明らかになった。 更にトリウムによる中性子散乱断面積のパリティ非保存の研究を30〜3000eVの非共鳴領域で行い、へリシティ非対称度が(0.5±1.6)×10^<-6>であることを示し、その値を種々の理論値と比較した。 また米国のロスアラモス国立研究所において製作したボロン10を含んだ液体シンチレーション検出器に関する開発データをまとめ、論文として発表した。この検出器は大強度の中性子に対しても中性子数を精度良く検出することが出来た。 ランタン核を低速中性子が通過する際にp波共鳴内で中性子の進行方向と垂直な面内で中性子スピンが回転する現象の測定結果を解析し、これまでよりずっと精度の良い値を得ることに成功した。
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