高エネルギー宇宙線の起源と加速機構の研究において、10^<15>eV領域は"KNEE"と呼ばれスペクトルの冪が変化し、宇宙線の組成に変化が起き、銀河系起源の宇宙線の加速限界と考えられている。このエネルギー領域は、気球による直接観測の限界に達しており、同時に間接測定では宇宙線組成を決定することはできない領域である、JACEE(日米共同エマルション実験)グループは、南極において150時間以上の長時間バルーン実験によって、10^<14>eV領域での宇宙線直接観測実験を行った。また、JACEEグループは、超伝導マグネットを気球に搭載したスペクトロメーターによる宇宙線観測によって、数GeV/AMUから数TeV/AMUの原子核成分のエネルギースペクトルの観測のために、気球実験を行った。本研究では、この超伝導JACEE実験のデータ解析を行うための測定器の開発を先ず行ってきた。計上した経費によりHITACHI製作所から高速画像処理システム(IP-5010BD+ホストPCHITACHIFLORA430)と高詳細CCDカメラ(日立製作所:KP-F100)による原子核乾板画像計測システムを構築した。この装置は、モータコントロールされた大型ステージL-MICのステージ制御ソフト(ハイバーテック:pos203.dllppd204.dll)と連動して、原子核乾板の画像入力・解析を行うことができるように、高速画像処理ライブラリと制御ソフトの統合を行っている。画像処理アルゴリズムには画像の投影変換による画像間誤差最小化による多重飛跡認識法(2000年春の物理学会)を利用し、トラック認識の効率化とステージコントローラの制度限界(原子核乾板の板厚精度限界)の克服を行うため、ソフトウエアの変更を行った。
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