20μm厚さのCCDの平坦性について研究した。このCCDは素子としての稼働はするが中央部が60μm程度大きくへこんでいることがわかった。さらに大面積にすると歪が大きくなり、何らかの保持機構が不可欠であることがわかったので、新しい構造について検討した。また、CCDを用いたバーテックス測定器の概念設計をし、b/cクォークの同定の効率やバックグランドの量について検討した。トポロジカルバーテックス法とMassTag法を用いると標準の測定器パラメータではbクォークの同定は純度95%で効率50%、cクォークについては純度55%で効率27%になった。一方、CCDを5層、厚さを約1/3にし、ビームパイプの半径を半分の1cmにした場合にはbクォークについては純度50%で効率が60%に、cクォークは純度65%、効率40%程度になった。一方CCDの使用に際して問題になるバックグランドの量は標準測定器の場合、10年間の運転で電子が10^<12>e/cm^2、中性子は10^9n/cm^2程度になる。MPPモードを使い室温に近い温度での駆動が可能な浜松フォトにクス社製のCCDの場合、このレベルの放射線の照射を受けるとFlat Band Voltage shiftは1V程度、VCTIは2x10^<-4>程度に低下する。これはぎりぎり許容範囲ではあるが、さらに放射線耐性のさらに大きな素子の開発が望まれる。また、測定器のソレノイド磁場を2テスラから3テスラに上げバックグランドを抑えることにより、ビームパイプ半径を標準ものより小さくすることを検討したが、バックグランドが急激に増加するために、半径1.5cm程度が限界であることがわかった。
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