π^+中間子の運動量がK^+→π^+π^0より低い運動量領域でK^+→π^+νν^^-崩壊を探索するには、K^+→π^+π^0崩壊を厳密に排除する必要があった。K^+→π^+π^0崩壊からのπ^+中間子が核相互作用して、その飛方向が変化したことあるいはその運動量を失ったことを検出できずに、π^0中間子からの2個のガンマ線も物質との相互作用等により検出できなかった場合、この崩壊はバックグランドとなる。 実際のK^+中間子静止崩壊測定器の形状及び物質構成を組み込み、精度の高いシュミレーションを行い、各ガンマ線検出器の性能を定量的に評価した。K^+→π^+π^0モードがバックグランドになるのは、ビーム方向へ出たπ^+中間子が散乱し、ビームと垂直方向にあるπ^+中間子用の測定器に入射し、π^0中間子から2個のガンマ線の内、低エネルギーのガンマ線はそのエネルギーが小さいために、バレル部のガンマ線検出器で光核反応をし、高エネルギーのガンマ線はビーム部の検出器の長さが不十分なために電磁シャワーをおこさずに通過することによることが主であることを確認した。 ビーム中で動作するガンマ線検出器を製作しテストするために、純CsI結晶及び高磁場用光電子増倍管の試作を行い、その性能を確認した。高磁場用光電子増倍管のビーム中での動作を評価するために、発光ダイオード及びその駆動回路の選択を行った。性能を比較するために、鉛とプラスチックシンチレーションを積層し、シンチレーション光をシンチレーションファイバーで磁場のない場所まで引き出す方式のガンマ線検出器を設計し、性能を検討した。ビーム中のガンマ線検出器は、入射するK^+中間子の信号が存在する状態で、ガンマ線を検出する必要があり、これは検出器を8等分程度に分割しその多重度を計測することにより達成できることを確認した。
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