ヘリウム核において100MeV以上の結合エネルギーで深く束縛されたケイオン状態が存在することを示すことができた。今年度は、それを実験的に観測することを目標に、測定量に関する計算を行った。中でも最も重要な量は、ケイオンの原子状態から深く束縛された状態へ遷移する分岐比である。この量を2%であると計算できた。この値を基に、実験家(Iwasaki et al.)が実験のプロポーザルを行い、KEKの2002年の実験計画として採択された。 この研究の特徴は、軽い核に注目したことにある。軽い核では、ケイオン自らが高密度状態を作り出すことを計算で示すことができた。これは、超低温高密度におけるケイオンの性質を調べる新しい方法となる可能性をもっている。 得られた成果は、イタリアでのハイパー核国際会議において、招待講演として報告した。
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