研究概要 |
目的である水晶の不整合相転移の起源に関して本研究によって次のことを明らかにした。 (1)中性子回折パターンの解析(Acta Cryst.A55(1999)65-69.)は現行のモデルでは説明できず、z-方向の変位が存在すると考える必要がある。Α相近傍での複屈折の測定(Ferroelectrics,in print)よりソフト化の起こる波数は、Γ点近傍ではなくBrillouin zoneの深い位置b/3近くであること。 (2)Tsuneyukiらの開発した2体イオン間のポテンシャルを用いた分子動力学計算を用い(Ferroelectrics in print),不整合相が理論的にも存在が予測されること。特にその周期は長波長(0.03b)であるよりもb/2やb/3の短波長の可能性が高いこと。 (3)弾性ヒンジ分子モデルを用いた計算機実験により変調構造中のドメインの生成・消滅の過程を明らかにした。(J.Phys.Soc.Jpn.68(1999)227-231.) これらの結果は、第9回のヨーロッパ強誘電体会議(1999年7月Praha,Czech),及び日本物理学会(1999年9月,岩手大学)において発表した。
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