研究概要 |
高圧ファンデルワールス化合物固体の弾性的性質の研究において最も重要なことは、単体個々の(例えば、H_2,CH_4,Ar)性質を十分に解明してからそれぞれの化合物固体にアプローチすることである。 水素(H_2)とメタン(CH_4)の弾性的性質は、既に本グループにより決定されているので、ここでは、まずファンデルワールス固体の代表であるアルゴン(Ar)の弾性的性質決定に挑戦した。本グループが開発したその場ブリルアン散乱の手法により、高圧固体Arの3つの弾性定数(C_<11>,C_<12>,C_<44>)をP=70GPaまで、世界で初めで正確に決定した。米国物理学会誌Phys.Rev.Lett.に印刷中である。 さらに、高圧ファンデルワールス化合物固体の代表としてのH_2O-Ar系は、アルゴンハイドレート(AH)に実現される。これはホスト分子H_2Oの水素結合で形成される「カゴ」の中にゲスト分子Arが1つ入り、sII型と呼ばれるダイヤモンド型の立方晶をつくる(よく知られたメタンハイドレートはsI型でbcc型の立方晶)。高圧ダイヤモンドアンビルセル(DAC)中にAHの単結晶を成長させることに初めて成功し、このsII型単結晶が安定な室温、圧力約1GPaまでの領域で、高圧ラマン散乱と高圧ブリルアン散乱を測定することにより、アルゴンハイドレートの弾性的性質(音速、弾性定数)を世界で初めて明らかにした。これらの結果は、まず下記により公表予定である。 ○High-pressure Raman and Brillouin Studies of a Single Crystal Argon Hydrate(AIRAPT2001)第18回高圧力の科学と技術に関する国際会議(北京)へ発表の申込み中
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