• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

近共鳴励起のラマン散乱による液体中の電子格子相互作用の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11640315
研究機関大阪大学

研究代表者

渡辺 純二  大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60201191)

研究分担者 木下 修一  大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10112004)
キーワード位相緩和 / 二次光学過程 / ラマン散乱 / 電子格子相互作用 / β-カロチン
研究概要

液体中に色素分子が溶質として入ると、その光学過程には数十フェムト秒オーダーの超高速位相緩和から、ナノ秒程度よりも遅いエネルギー緩和まで、広範な時間スケールの緩和現象が現れる。特にこの系の光学的位相緩和過程は、溶媒との強い相互作用により数十フェムト秒の大変短い時間で起こる。この過程を理解することは、光学過程を通して物質中の緩和現象を研究する上で一般性を持つ非常に重要な課題である。本研究では、この超高速位相緩和の機構を明らかにすることを目的として、液体やガラス中の色素分子における共鳴二次光学スペクトルの詳細な測定、解析を行う。その中で特に、溶質溶媒相互作用に伴う溶媒モードのラマン散乱成分に着目し、そのフォノン状態密度分布を明らかにする。
溶質溶媒相互作用に伴う溶媒モードのラマン散乱成分は、モデル計算から予測されながら、これまで実験的に観測する試みがほとんど行われていない。この成分は、スペクトル上ではレーリー散乱を中心としたエネルギー位置に現れ、スペクトル幅はフォノン状態密度分布の幅程度、とモデル計算により予測されている。実際の測定は、連続発振レーザーにより試料を励起し、試料からの光をダブルモノクロメーターで分光し、光子計数法により検出した。純粋な溶媒だけによるラマン散乱成分を注意深く差し引き、その結果現われるバルクモードのラマン散乱のスペクトルを解析した。溶液中の色素分子(βーカロチン)を対象に共鳴から近共鳴励起で測定した結果、この成分が実際に観測され、100波数程度の幅を持ち、積分強度はルミネッセンスの1割程度となることが分かった。今後は、そのスペクトル形状や強度の他の成分との比率を詳細に測定し、溶質溶媒相互作用に伴う溶媒モードのフォノン構造を明らかにしていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Junji Watanabe: "Discrepancy in response functions obtained from Stokes and anti-Stokes low-frequency light scattering in liquid"Journal of Luminescence. (2000)

  • [文献書誌] Ryosuke Nakamura: "Observation of "broad Raman" component in resonant secondary radiation"Journal of Luminescence. (2000)

  • [文献書誌] Shuichi Kinoshita: "Femtosecond Optical Kerr Effect Measurement on Initial Process of Liquid Dynamics"Journal of Luminescence. (2000)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi