既存設備である、従来形式の高分解能電子エネルギー損失分光器の構成要素である電子モノクロメータを、本研究で開発する時間分解電子エネルギー損失分光器の電子モノクロメータとして流用し、これに、既存設備である1次元位置敏感検出器を備えた多チャンネル電子エネルギーアナライザを、低速電子の高分解能エネルギー分析に使用できるように、細部を調整・改良し、時間分解電子エネルギー損失分光器の電子エネルギーアナライザとした。 電子モノクロメータにより単色化された電子を電子エネルギーアナライザに入射させ、検出器に到達する電子を計測したところ、検出器からの信号のうち電子エネルギーアナライザの動作条件に依存しないノイズ成分がかなりあることがわかった。これは、電子モノクロメータの陰極から出た電子の一部がアナライザの検出器に直接入射するためであると考えられる。このため、電子モノクロメータの遮蔽を強化し、電子エネルギー損失分光器全体としての性能を再評価することにした。
|