研究概要 |
当初購入予定だったグローブボックスが,広島大学より移管していただけることになり,今年度はこのガス精製型グローブボックスの整備に予算を集中して使ってきました.その結果,当初の予算だけでは考えられなかった水分濃度2ppm以下という世界最高水準に近い環境を実現することに最近成功しました.一般に酸素濃度は水分濃度に比べ低いので,これでようやく,実験条件が整ったと考えています.今後,無機ポリマー膜化を試みる予定です.この間に平行して進めてきた実験には以下のものがあります. Tetrahydrofurane(THF)により層間が広がらないNa_xHfNCl系では,超伝導転移温度T_cが本来の25.5Kより本質的に低く,20.0Kになることがわかりました.さらに広島大学の山中グループとの共同研究でPropylene carbonateをそのNa_xHfNCl系にコインターカレーションすることで,T_cが上昇し,本来の価に近づくこともわかりました.この実験結果は,我々のHfNCl試料にLiとTHFをコインターカレーションすることでも確認できました.Na系では層間が広がらないことから,THFは層間に入っていないと考えられてきましたが,ICP分析の総重量が合わないことや,MARIおよびAGNESの中性子散乱実験の結果から,THFがNa間の隙間に入っている可能性がでてきました.またNa濃度xを増加させると,0.5以上で構造が一部アモルファスになることがわかりましたが,それに対して,T_cはxが0.5を超えてもゆるやかに減少するだけで,体積分率もx〜1/6でピーク状に極大をもちその後はほとんど変化のないことがわかりました.これはこの超伝導の2次元性を反映したものとして理解できることがわかりました.
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