• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

高温超伝導体における固有ジョセフソン効果と集団励起の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11640332
研究機関東北大学

研究代表者

小山 富男  東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30153696)

キーワード酸化物高温超伝導体 / 固有ジョセフソン効果 / ジョセフソンプラズマ / クーロンブロッケード効果
研究概要

酸化物高温超伝導体は、超伝導が発現するCuO2層の間の結合が弱いため、単結晶試料でもジョセフソン効果が現れる(固有ジョセフソン効果)。このため強い異方性を示す高温超伝導体のc軸方向の超伝導特性は、1次元ジョセフソン接合列モデルに基づいて理解できる。ただし、高温超伝導体の固有ジョセフソン接合列の場合、超伝導層が1原子層でできているため、層間に電場が発生する交流ジョセフソン効果では超伝導層の電気的中性条件が破られる。この効果により、固有ジョセフソン接合列では、従来型のジョセフソン接合列とは本質的に異なるc軸電荷ダイナミクスが現れる。本年度は、酸化物高温超伝導体の微小単結晶で最近実験的に観測されたクーロンブロッケード効果の理論の建設を中心に研究を行った。高温超伝導体単結晶をメサ型ないしホイスカー型の形状に加工することにより、ab面が種々の面積を持つ微小な試料が作成でき、したがって、1次元ジョセフソン接合列の電荷ダイナミクスのサイズ効果が系統的に研究できる。この系のクーロンブロッケード効果は、c軸電流-電圧特性の測定によりab面の面積がサブミクロン角の場合に現れることが示されている。固有ジョセフソン接合列の電荷ダイナミクスを考察する場合、この結晶の規則的な層状構造に起因して帯電効果による電場が接合列内に1次元的に閉じ込められることが重要である。この点が、従来型メゾスコピック超伝導接合列と本質的に異なる点である。本研究では、このような1次元的な長距離クーロン相互作用があるジョセフソン接合列系の電荷ダイナミクスの全容を解明した。縦ジョセフソンプラズマ振動は、ab面面積の減少に伴ってソフト化し、ある臨界面積で不安定化する。このようなプラズマの挙動を記述する摂動理論を与えた。また、この臨界面積を決定する繰りこみ群理論の建設にも成功した。さらに、臨界面積以下の微小な面積を持つ試料で電荷ソリトンが安定化することも示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Koyama: "Size effect for the Josephson plasma in high-Tc Superconductors : Interplay"J.Phys.Soc.Jpn. 69. 3698-3695 (2000)

  • [文献書誌] T.Koyama: "Microscopic theory for the Josephson plasma in high-Tc superconductors : Interplay between the Josephson plasma and the c-axis optical phonons"Physoca C. 341-348. 1381-1382 (2000)

  • [文献書誌] T.Koyama: "Quantum theory for the Josephson plasma in high-Tc Superconductors"Physica C. 341-348. 1169-1170 (2000)

  • [文献書誌] M.Machida: "Collective Josephson vortex dynamics and Josephson plasma excitation in layered cuprate superconductors"Physica C. 341-348. 1385-1386 (2000)

  • [文献書誌] T.Koyama: "Longitudinal Josephson plasma oscillations and single Cooper-pair tunneling in intrinsic Josephson junction array : Renormalization group analysis"Physica C to be published..

  • [文献書誌] 小山富男: "高温超伝導体におけるジョセフソンプラズマ振動の量子論"日本物理学会誌. 55. 603-607 (2000)

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi